なぜか人のせいにしてしまう自分が嫌なときに

気持ちの矛先

「あの人が言わなければ、こんなことにならなかったのに」
「上司のせいで、プロジェクトがうまくいかなかった」
「家族が理解してくれないから、前に進めない」

そんな言葉が口をついて出た後、なんとも言えない後味の悪さを感じた経験はありませんか?
人のせいにしておきながら、どこか自己嫌悪に陥る。
この複雑な感情の正体は、いったい何なのでしょう。

責任転嫁の心理メカニズム

私たちはなぜ、つい人のせいにしてしまうのでしょうか。
それは、意外にも私たちの心を守るための無意識の防衛反応かもしれません。

自分を守りたい気持ち
失敗や挫折を自分のせいだと認めることは、時に大きな痛みを伴います。
「自分には能力がない」「努力が足りなかった」と認めるのは、とても勇気のいること。
その痛みから自分を守るために、無意識のうちに原因を外側に求めてしまうのです。
まず頭に浮かぶのは「情報が不足していた」「時間が足りなかった」という言い訳。
自分の準備不足を認めるのが、どこか怖かったのかもしれません。

コントロール感を取り戻したい
「自分には何もできない」と感じるよりも、「あの人が原因だ」と考える方が、
不思議と心が落ち着くことがあります。
それは、世界をコントロールできるという感覚を取り戻す一つの方法なのかもしれません。

「人のせい」の後に来る虚しさ

しかし、一時的に心が守られたとしても、その先に待っているのは意外な孤独感ではないでしょうか。

自分の力を手放してしまう矛盾
人のせいにすることで、実は自分自身の力も同時に手放してしまっているのです。
「すべて相手が悪い」と思えば思うほど、自分には何も変える力がないという無力感に陥ります。

関係性の壁
責任を他者に押し付け続けると、いつしか周囲との間に見えない壁が生まれます。
本当の信頼関係は、お互いの弱さも含めて受け入れ合える関係の中でこそ育まれるものだからです。

家族や長年の友人、パートナーのせいにする問題もよくあることかと思います。
親しい関係だからこそ陥ってしまいがちな、相手を責めてしまう言動。
でも、その態度が二人の間の距離を広げていることに…

自分のせいにし過ぎる苦しさも

一方で、なんでも自分のせいにしてしまう傾向も、同じくらい苦しいものです。

過剰な自己責任論
「すべて自分が悪い」「もっと頑張れば良かった」と自分を責め続けることも、 心の健康にはよくありません。
時に、それは他者の責任まで背負い込んでしまうことになるのです。

多くの方と同じように、私も完璧主義の傾向があり、
何かうまくいかないと「自分の努力が足りなかった」と考えがちです。
けれど、そんな自分を追い詰めるような考え方にも、優しく気づいていきたいですね。

「責任」と「原因」を分ける視点

実は「誰のせいか」という発想自体が、状況をより複雑にしていることがあります。
多くの出来事は、単純に一人のせいにできるものではないからです。

複合的な要因を見る
ほとんどの問題や状況は、様々な要因が複雑に絡み合って生じています。
誰が悪いかではなく、何が起きていたのかという視点で見てみると、 新しい気づきが得られるかもしれません。

「責任の取り方」を考える
誰のせいかではなく、これからどうするかという未来志向の発想に切り替えると、 状況が動き始めることがあります。

例えば職場でのミスコミュニケーション。
相手のせいにするのではなく、 「次からはこうしよう」という提案をすることで、関係性が良い方向に変わることがあります。

自分を責める気持ちと向き合うヒント

人のせいにしてしまう自分が嫌だと感じるとき、それは自分に対する優しさが芽生えている証かもしれません。
そんなとき、こんな方法を試してみてはいかがでしょうか。

1. 感情をまず認める
「人のせいにしたくなる」気持ちそのものを否定せず、まずはその感情があることを認めてみましょう。
「あぁ、今自分は誰かを責めたい気持ちでいっぱいだな」と。

2. 小さな「自分の部分」を見つける
100%自分が悪いわけでも、100%相手が悪いわけでもないのが現実です。
小さくても、自分にできる部分、変えられる部分を探してみましょう。

3. 「次は」を考える
過去を変えることはできませんが、これからの行動は選ぶことができます。
「次に同じ状況になったら、どうしたいか」を想像してみましょう。

4. 自分を第三者の目で見る
もし大切な友人が同じ状況にいたら、あなたは何と声をかけるでしょうか。
おそらく、自分に対するよりも優しい言葉をかけるのではないでしょうか。
その優しさを、自分自身にも向けてみましょう。

責任を共有する関係性へ

理想的なのは、互いに責任を押し付け合うのでも、
一人が全責任を背負うのでもなく、 状況を良くするために「一緒に取り組む」という姿勢かもしれません。

そのためには、まず自分自身が「完璧でなくていい」と認めることから始まります。
失敗や弱さを持つ人間同士が、支え合いながら前に進んでいく。
そんな関係性の中で、私たちは少しずつ成長していくのではないでしょうか。

人のせいにしてしまう自分が嫌になるとき、それは実は自分の内側に正直になり始めた証かもしれません。
その気づきを大切に、少しずつ自分自身と和解する道を歩んでいきましょう。

あなたは、そのままでも十分価値のある存在だということを、どうか忘れないでくださいね。

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